こんにちは。美少女ゲーム担当の青です!

突然ですが、私は、ゲームの要素の中で「音楽」ってとても大切だと思っています。
起動音~スタート画面~OP~BGM~ED、とゲームの世界観作りへの影響がたまらないです。

そして、今回ご紹介したいのは美少女ゲームメーカー「key」の「AIR」より「夏影」!
あまりにも名曲なので、知ってるよ!!と返されるかもしれませんが。
今日久しぶりに原曲を聴いたのですが、やはり胸を打たれました。

【最高音質】_AIR_夏影

そして、4年前に、夏影へのレスとして、ショート小説を書いたのです。
自分なりに結構気にいっていて、好きと言ってくれた友達もいたので。
せっかくゲームチームに入ったので、批判を恐れず、公開してみます。

*******************************

僕達の足取りが止まっていたのはいつからだったろう。僕は自分の歳を知らない。
遊び続けている。残暑の強いこの温度の中に、いつもぼんやりと存在する。
そして、彼女は笑い続けている。僕の隣で。今日は寂れた商店街を一緒に歩いた。
こんな田舎町の商店街など、「街」と言えるほどでもないが。
夏休みであるせいか、平日にぶらついている子供が多い。
お金が無いので、商店街の後は海に行った。彼女は喜んだ。

「冷たい」

そういって足を水に浸し、すらりと伸びた腕を水面にやる。スカートの裾が少し濡れる。
どうせすぐ乾くだろう。僕も走って隣に行く。

「海は好き。すごく地上なのに、すごく空みたい。どこにでも行けそう」

彼女は言う。

「部屋とか、教室とか、会社とか、家とかは、どこにも行けなそう」

と、僕は答える。

「あはは、そうかも。牢獄っぽい」

海から受ける風に長い髪をなびかせて、無邪気に笑う。笑い続ける。
過去も未来も永遠も、時間や存在についての処々は僕達にとってはどうでも良いことだった。
気が済むまで、気ままに過ごす。今日は、夜まで海にいることになった。

「花火だ! 花火だよ!」

今日は夏祭りの日だった。川の方で打ち上げているようで、ここからは途切れ途切れしか見えない。

「川の方、行ってみる?」

「うん!」

元気に答える彼女。駈けて、駈けていく。防波堤の上には、沢山の屋台。

「水風船、欲しいな」

「お金が無いから買えないよ。それに、ほら」

僕は夜空を指差す。ちょうど大きめのが二発あがったところだった。

「わあ……前見た時のより、すごくなってる」

「ここの花火、しょぼい事で有名らしいけどね」

「ええー! なんでー? 嘘、きれい」

「さっきすれ違った人達が言ってたの聞いただけ。ちょっと遠くの町では大規模なのやったんだって。
まあ、きれいなのに変わりはないよね」

「なんだ、きれいだったらいいのに」

けろっとした表情。この町では、花火大会が終わると夏も終わりに近づく。

子供連れの母親達とすれ違う。子供が肩がけている虫籠には、蛍。

「きれいー! きれいー! わあああ」

彼女が騒ぎすぎるので腕づくで止めようとする。
ふと、ひとり子供が振り向いた。僕達の姿は見えないはずなのに。
子供は蛍を一匹、虫籠から取り出し、彼女へ差し出す。彼女の手のひらをすり抜けて、光は空へ消えた。

*******************************

二十年前、この田舎町にある唯一の高等学校の屋上から、男女二人が飛び降り自殺をした。
生徒の話によると、二人は特に恋愛関係ではなかったという。

*******************************

僕達は、秋になるにつれ大気に消える。夏の記憶のみ保持する。

これは、夏の間だけ影になって小さな田舎町を走り回る、人間ではない仲良しふたりのお話。